My Free Software Activities in June 2023

6月のハイライトはDebian bookwormのリリースがあったこと。 bookwormがリリースされたので、各種パッケージのアップデート祭りやbookwormに間に合わなかった パッケージをproposed-updateとして更新かけたあたりか。 d-iに手を入れた件は、推移を注視したい。

Gandi.netからメールボックスをさくらのメールボックスへと移行する

先日、Gandi.netはドメインに付帯するサービスであったメールボックスを今後提供しないことをアナウンスしました。

news.gandi.net

従来のメールボックスは2023年11月30日をもって終了します。 従来のメールボックスは2つのメールアドレス(容量は3GB)が使えたのでよかったのですが、今後は有料となるようです。

この記事を書いている時点では、FAQでアナウンスされているメールボックスの移行ツールはまだ提供されていません。(7/13予定のため)

www.gandi.net

Aレートだと標準プランだと$3.99で、Eレートだと$2.99。 日本円だと、Aレートの標準プランだと44円/月で、Eレートだと329円/月。 Eレートのほうがなぜか妙に安いことになっていますが、日本向けページは間違ってますね。

www.gandi.net

英語ページを参照すると、Aレートだと439円/月、Eレートだと329円のようです。メールボックスの容量も3GBから10GBに増えるとはいえ、 従来同様複数メールアカウントをGandiで維持するのは、ちょっと割に合わない感じになってしまいます。

Debian開発者だとEレートでメールボックスも使えるというメリットがあったのでGandiを使っていたのですが、 メールボックスを追加購入しないといけないというのでは、昨今の円安もありあまり嬉しくなくなってしまいました。

ドメインを複数契約しているので、ひとまずドメインだけはGandi管理のままにしておきますが、メールボックスは移転することにしました。 これまでお手頃価格かつ安定したサービスとして利用させてもらっていたのでちょっと寂しい気持ちです。

このへんの既存顧客向けのサービス内容の変更は、Gandi.netがYour.Online傘下?になったというのも影響しているんでしょうか。

news.gandi.net

domainnamewire.com

いずれにせよ、これまで利用したことのあるさくらのメールボックスに移行することにしました。 年額1048円とお手頃なのも決め手になりました。

Gandi.net側で実施すること

  • Gandi.netでMXレコードをexample.sakura.ne.jpに向ける (xxx.sakura.ne.jpというメールサーバーが割り当てられる)
    • 従来のメールボックス向けのMXレコードは優先度を下げておく

たとえば以下のような感じにします。

@ 10800 IN MX 10 example.sakura.ne.jp.
@ 10800 IN MX 50 fb.mail.gandi.net.
@ 10800 IN MX 70 spool.mail.gandi.net.
@ 86400 IN TXT "v=spf1 a:example.sakura.ne.jp include:_mailcust.gandi.net ~all"

さくらのメールボックス側ですること

あとは、メールクライアントを下記基本仕様にしたがって設定しておけば完了です。

help.sakura.ad.jp

メールクライアントで溜め込んだメールを新メールサーバーにIMAPで経由でコピーするのが面倒だったものの比較的すんなり移行できました。

オフトピですが、さくらのメールボックスのサーバーってFreeBSDなんですね。

この記事はUltimate Hacking Keyboard 60で執筆しました。

Ultimate Hacking Keyboard 60入門:氷鼬組

Debian bookworm向けのアップデートを出す作業の話

Debianではいったん安定版としてリリースされると、あくまでパッチレベルの修正しか入らないようになっています。 まぁ安定版なんだからばかすかメジャーバージョンアップされても困るので当然ですね。(ブラウザなどのように一部例外はあります。)

今回bookwormのリリースに修正が間に合わなかったバグを修正したので、その事例を書き残しておきます。 あまりポイントリリース向けに作業することがないので、備忘録を兼ねています。

なお、Groonga公式がリリースしているパッケージには今回言及した問題はありません。あくまでDebianのポリシーに適合するようにパッケージングした過程で入ったバグであるためです。

時系列

bugs.debian.org

あとは、ポイントリリースとしてリリースされるのを待つことになります。

unblockの期限については、debian-devel-announceで事前に通達でてました。 lists.debian.org

ポイントリリース特有のこと

  • パッケージのバージョンのつけかたに留意が必要

例えば、bookwormにはいっているのは13.0.0+dfsg-2で、unstableには修正済みの13.0.0+dfsg-3がありました。 そのため、bookwormへのバックポートということで、13.0.0+dfsg-3~deb12u1とする必要がありました。(後から考えると、trixieに13.0.1+dfsg-1があるので、~じゃなくて+でも問題なかった)

普段はunstableをガンガン更新していくので、debian/changelogもunstableをターゲットにしておけばよいのですが、bookworm向けなのでdebian/changelogもbookwormをターゲットにしておく必要があります。

groonga (13.0.0+dfsg-3~deb12u1) bookworm; urgency=medium

  * Backport to bookworm
    - It fixes missing dependency to libjs-*. (#1036575)

dputでアップロードするとbookworm向けにアップロードしてくれます。 アップロードしたパッケージが受理されると次のようなメールが届きます。

差出人: Debian FTP Masters <ftpmaster@ftp-master.debian.org>
To: kenhys@xdump.org
件名: Processing of groonga_13.0.0+dfsg-3~deb12u1_source.changes
日付: Sun, 25 Jun 2023 06:43:40 +0000
X-GND-Status: LEGIT

groonga_13.0.0+dfsg-3~deb12u1_source.changes uploaded successfully to localhost
along with the files:
  groonga_13.0.0+dfsg-3~deb12u1.dsc
  groonga_13.0.0+dfsg-3~deb12u1.debian.tar.xz
  groonga_13.0.0+dfsg-3~deb12u1_amd64.buildinfo

Greetings,

    Your Debian queue daemon (running on host usper.debian.org)

bookworm向けにアップロードされたパッケージは、proposed-updatesにまわされます。

差出人: Debian FTP Masters <ftpmaster@ftp-master.debian.org>
To: Kentaro Hayashi <kenhys@xdump.org>
件名: groonga_13.0.0+dfsg-3~deb12u1_source.changes ACCEPTED into  proposed-updates->stable-new
日付: Sun, 25 Jun 2023 07:04:22 +0000
X-GND-Status: LEGIT

Thank you for your contribution to Debian.

Mapping bookworm to stable.
Mapping stable to proposed-updates.

Accepted:

あとはポイントリリースのリリースマネージャにおまかせすることになります。 (この時点ではパッケージのレビューがまだなので、stable-newにいったん置かれる)

さいごに

今回の作業の内容はおおむね開発者リファレンスに書いてある内容です。興味があればそちらも参照してみてください。

https://www.debian.org/doc/manuals/developers-reference/pkgs.ja.html#picking-a-distribution

RCバグがぎりぎりで報告されることがあるので、見落とさないように注意が必要ですね。。。

Debianのポイントリリースがでるまでには、こんな感じで開発作業がなされているというのを知ってもらえるといいなと思います。

なお、現在進行形のbookwormの次期ポイントリリース向けの作業については、bookworm-puを追っかけるとよいです。

bugs.debian.org

この記事はUltimate Hacking Keyboard 60で書きあげました。

技術書典14で「Ultimate Hacking Keyboard 60入門」を頒布します

5/20(土)から開催される技術書典14のオンラインマーケットにて「Ultimate Hacking Keyboard 60入門」という薄い本を頒布します。

オフラインでの参加は見送ったため、オンラインマーケットのみの出展となっています。

techbookfest.org

Ultimate Hacking Keyboard 60(以降UHKと表記)のv2の概要からマクロの紹介まで薄く広くまとめた一冊となっています。 実際にUHKを使ってみた所感をおりまぜつつ、カスタマイズ例やらを紹介しています。

キーボードを愛してやまない人や、現在トラックポイントを愛用している人あたりに刺さるといいなと思って執筆しました。

分割キーボードに興味のある人にとっては、UHKの特性を知るきっかけになることでしょう。 トラックポイント好きな人はもしかしたら将来的な乗り換え候補に入れるきっかけになるかもしれません。

どんな内容かというと次のとおりです。

  • 第1章 UHKの概要
  • 第2章 UHKのセットアップ
  • 第3章 UHKのブリッジケーブルを交換する
  • 第4章 UHKのエージェントを使いこなす
  • 第5章 UHKのカスタマイズ設定集
  • 第6章 UHKのキーキャップを交換する
  • 第7章 UHKのファームウェアを変更する
  • 第8章 UHKのマクロ入門

マクロのところはもっと書き足したいところではあったのですが、冊子でも出したい!という意向もあり、 かけられる時間と紙面の都合でさわりのところでまとめました。

公式サイトをみただけではわからないハマりどころなんかも書いたので、 そのあたりは薄い本にした意義があるのではないかなと思っています。

(あとから印刷を利用するつもりなので、小部数でも爆死しにくいのですが、どうしても高コストにならざるを得ないので頒布設定って悩ましい。。。)

この記事は、Ultimate Hacking Keyboard 60で書きました。

My Free Software Activities in March 2023

3月は比較的活動はおとなしめ。 Ultimate Hacking Keyboardが届いてThinkPad USBトラックポイントキーボードから乗り換えたので それに慣れるのが大変だったな。bookworm向けのバグ修正の検証とかをしたのもあった。

この記事はUltimate Hacking Keyboard 60 v2で書きました。

My New Gear...UHK

Recently, I'm coming to feel the burden on my shoulder, it makes me so annoyed.

As of that, I've considered replacing the hardware (keyboard).

I've searched for a new gear candidate to resolve the above issue with the following conditions:

  • MUST: Needs trackpoint (because I'm using ThinkPad Keyboard with TrackPoint so long, I'm afraid to work without it)
  • MUST: Separate keyboard (split keyboard) to be ergonomic to reduce the burden on my shoulder.
  • SHOULD: Upstream publishes products in a form of source code (I prefer more "free" products)

As a result, Ultimate Hacking Keyboard [1] seems that it is the best solution for me because UHK implements trackpoint, split keyboard feature, and upstream publishes firmware as MIT-like license. [2]

It seems the best solution but it costs me more budget unexpectedly (weaker YEN contrast to USD makes it a worse situation). so I've asked about reimbursement [3] for Debian project.

Fortunately, reimbursement request is approved and processed by SPI [4], even though there is a troublesome with the paperwork (it's my fault) [5], I could get a new gear - Ultimate Hacking Keyboard. (Note that reimbursement does not cover all of costs - import tax fee, and so on, but it helps a lot)

As I mentioned above, I used ThinkPad keyboard with TrackPoint so long, I'm noticed that I was used to be optimized to that keyboard.

Here is the first impression:

  • Even though the silent red switch, it may be a bit noisy, but it is acceptable.
  • TrackPoint module may not be so useful as I expected, it may be better to use mod layer or mini trackball with key cluster module. This is because it is not an appropriate position for me that trackpoint module must be attached to left on N, Space key. (left to H key is better position for me)
  • Remapping configuration tool is awesome. but need to try to find my "best" assignment furthermore.
  • It is hard to replace keycaps because of a special keycap width (bit shorter keycap design exists)
  • It takes about a few weeks to get used to new gear.
  • The curled code is a bit shorter than I expected, so it should be replaced with a longer one.

Anyway, UHK is an awesome product and it is worth to recommend you.

My Free Software Activities in Feb 2023

2月はパッケージのメンテナンスやDebianのウェブサイトで翻訳が古すぎて原文参照してください状態だったのを すこしでも解消するためにウェブサイトの翻訳を頑張った。