My Free Software Activities in June 2025

6月のハイライト

今月は、Debian Installerを使ってグラフィカルインストールを日本語で行おうとすると 一部のグリフが期待通りに表示されない、いわゆる中華フォントの問題が修正されたことが大きなトピックであった。 インストーラーへと組み込む修正自体はDebian Installerに関するキーパーソンであるCyrilさんが実施したのだけれど、 事前の検証とかフォントパッケージに関する修正あたりなんかは協力して行えたのは成果である。

Debian 13のhard freeze期間なので、やや無理やりねじ込んだ感じはあるものの、Debian 13 (trixie)に間に合ったのは喜ばしい。 Debian 9から発生していた地味な問題をようやく解決にもっていけた。

この件については、Debian勉強会でも発表したし、記事にもしておいた。

あとは、毎回ぎりぎりになっていた、Debian勉強会の発表内容を原稿化する作業も終わった。 「あんどきゅめんてっどでびあん」の夏号として収録されるはずである。

また、普段利用しているキーボードのUHK 60 v2向けに、専用のRiser 60を購入した。 標準のチルトだと、たまにぐらついて使い勝手が悪かったのだが、Riser 60を導入することで ぐらつきが一切なくなったのでかなり改善した。ハンガリーからの個人輸入になったのでちょっとお財布には優しくなかった。 (10度の傾きを安定的に確保するための出費と考えるとたぶんコスパはものすごく悪いんだろうが、時間を買ったのだ。。。)

6月の活動記録

Fixing long standing font issue about Debian Graphical Installer

Introduction

This is just a note-taking about how fixed the long standing font issue about Debian Graphical Installer for up-coming trixie ready.

Recently, this issue had been resolved by Cyril Brulebois. Thanks!

What is the problem?

Because of Han unification, wrong font typefaces are rendered by default when you choose Japanese language using Graphical Debian installer.

"Wrong" glyph for Japanese
Most of typefaces seems correct, but there are wrong typefaces (Simplified Chinese) which is used for widget rendering.

This issue will not be solved during using DroidSansFallback.ttf continuously for Japanese.

Thus, it means that we need to switch font itself which contains Japanese typeface to fix this issue.

If you wan to know about how Han Unification is harmful in this context, See

What causes this problem?

In short, fonts-android (DroidSansFallback.ttf) had been used for CJK, especially for Japanese.

Since Debian 9 (stretch), fonts-android was adopted for CJK fonts by default. Thus this issue was not resolved in Debian 9, Debian 10, Debian 11 and Debian 12 release cycle!

What is the impact about this issue?

For sadly, Japanese native speakers can recognize such a unexpectedly rendered "Wrong" glyph, so it is not hard to continue Debian installation process.

Even if there is no problem with the installer's functionality, it gives a terrible user experience for newbie.

For example, how can you trust an installer which contains full of typos? It is similar situation for Japanese users.

How Debian Graphical Installer was fixed?

In short, newly fonts-motoya-l-cedar-udeb was bundled for Japanese, and changed to switch that font via gtk-set-font command.

It was difficult that what is the best font to deal font file size and visibility. Typically Japanese font file occupies extra a few MB.

Luckily, some space was back for Installer, it was not seen as a problem (I guess).

As a bonus, we tried to investigate a possibility of font compression mechanism for Installer, but it was regarded as too complicated and not suitable for trixie release cycle.

Conclution

  • The font issue was fixed in Debian Graphical Installer for Japanese
  • As recently fixed, not officially shipped yet (NOTE Debian Installer Trixie RC1 does not contain this fix) Try daily build installer if you want.

This article was written with Ultimate Hacking Keyboard 60 v2 with Rizer 60 (New my gear!).

My Free Software Activities in May 2025

5月のハイライト

今月はそれほど活動的ではなかったが、Debian Installer(GUI版)の日本語フォントの 改善の件が進展したというのが個人的に印象深い。 ローカルビルドされたフォントパッケージがはいるのか、あるいはインストーラーへと 正式にパッケージングされたフォントが組み込まれるのかは定かではないが、Debian 13 (trixie)では それなりにちゃんとした日本語フォントで表示されるはずである。

5月の活動記録

My Free Software Activities in April 2025

4月のハイライト

4月は、Debian Trixieにむけたマイルストーン2のソフトフリーズ期間に突入した。 先月はツールチェインだったが、今月からは一般のパッケージにもフリーズの制限がかかる。 (testingに降ってくるまでに10日間の遅延がautopkgtestがあろうとなかろうと適用される。)

groongaやdeskflowのパッケージの更新をした。

deskflowはソフトフリーズ直前で1.21.2がでたし、gr-frameworkも0.73.14がフリーズ後にリリースされたので追従した。 つぎのHard Freezeは5/15なのでひとまず間に合いそう。

rvmについてはリリースされてからすぐに対応してフィードバックしたので嬉しかった人はいたんじゃないかと思う。 他は、FTBFSな問題について他のパッケージにフィードバックをしたくらいか。最近同僚に触発されてrubocopを覚えたので積極的に試してみている。

UHK 60 v2というキーボードを使ってそれなりに経過したので、備忘録的なものを記事として残しておいた。 トラックポイントポインティングスティック)つきの左右分割キーボードとしては(人を選ぶものの)かなりおすすめできるとは思う。

kenhys.hatenablog.jp

4月の活動記録

Ultimate Hacking Keyboard 60 v2に関する所感

Ultimate Hacking Keyboard 60 v2のレビュー的ななにか

2023年にそれまで使っていたThinkPad USB トラックポイントキーボードに別れを告げ(無論手元には大事にとってある)、 Ultimate Hacking Keyboard 60 v2というキーボードに切り替えた。 これはいわゆる分割(左右分離)できるタイプのキーボードであり、専用のモジュールを追加して機能拡張できるというのが特徴となっているキーボードである。

当時、キーボードを切り替えたことはなかなかインパクトがあったので、次のような記事を書いていたようだ。

My New Gear...UHK - ひとりしずかに。

元々トラックポイントポインティングスティック)がついていないキーボードなぞまかりならん、という派閥であったため Ultimate Hacking Keyboard 60自体はよさそうという思いはあったもののなかなか手を出すには至らなかった。 後述するモジュール等もセットにするとなかなかの費用となるためである。 幸いにして、Debianプロジェクトから費用の一部支援が受けられることになり、手に入れることができた。 *1

2年ほど経過してどうだったかをいくつかふりかえってみたい。

なお、Ultimate Hacking Keyboard 60 v2は次の仕様のものを当時入手した。

当時から変更しているのは次のとおりである。

キースイッチ

元々付属していたキースイッチ(Kailh Silent Pink)もよいスイッチだけれども、ほぼ一部(modifierキーあたり)にしかもう使っていない。かなりの部分を置き換えた。

数字キーに関しては、あれこれ混載した状態になっている。 Kailh Super Speed SilverとかGateron G Pro 3.0 Silverあたりとまだ定番がない。

キースイッチはリニアもしくはサイレントリニアのものを時折試してみたりはしているが、 TTC Frozen SilentやKailh Deep Sea Isletがを超えてくるものはなく、個人的な定番になっている。

キーキャップ

さまざまなキーキャップをあれこれ試している。 とはいえ、デザインを変えるというよりかは、キーキャップのプロファイルを変更してあったものを探そうとしている。 標準でついていたOEMプロファイルのキーは、キーキャップの幅が特殊な右端列のキー以外はほぼ使っていない。

これまでいくつか試したプロファイルは次のとおり。

  • OEM: 可もなく不可もなくという印象。世の中のキーボードはたいていこれなので違和感は皆無。
  • ASA: ちょっとキーキャップの高さがありすぎる。指先がひっかかり、やや打鍵が疲れる印象。打鍵音は低めで良い。
  • XVX: キーキャップの高さが低く、傾斜がきつめに感じた。数字キーを打鍵するときに、自分は誤爆しがちだった。
  • MDA: あまり印象に残っていない。
  • Meow: たとえば、Meow Keycapsみたいなやつ。これはプロファイル云々というより猫ありきでつい買ってしまった。
  • MOG: やたらまるっこく、他のキーキャップとはまるで違う打鍵感を提供する。慣れがかなり必要だが、変すぎて楽しい。

キーキャップは世の中にこれほどプロファイルがあるというのが新鮮であった。 あれこれ試している最中で、いまはMOGプロファイルのキーキャップを使っている。

結局のところ、あまり合わないなというASAプロファイルのキーキャップを除いてローテーションして、打鍵感の違いを楽しんだりしている。

総評的なメモ

使い始めのときから印象が変わっていないものもあれば、使い込んでいくうちに気になってきたものがある。

  • 当時は肩こりに悩んでいたので、分割型キーボードであるUHK 60 v2にしたのはよかったと今でも思っている。 たまにノートPCであったり、トラックポイントキーボードに戻って長めの作業をするとやっぱり肩がこるので、自分には切り替えたことがよかったんだろう。分割できるキーボードがあうかどうかは人にもよるとは思う。
  • 付属のモジュラーケーブルは短すぎる。使い勝手が悪いので、モジュラーケーブルを長めのものに交換する必要があった。モジュラーケーブルがあんまり一般的でなくなりつつあるので、ここはちょっと新規の人にはすすめづらいポイントかもしれない。
  • モジュラーケーブルを長いやつに変更すると、ファームウェアの更新にしくじる。ファームウェアの更新は付属していた元のモジュラーケーブルでやらないと駄目なのはちょっと不便である。
  • キーキャップをあれこれ交換して楽しんでいるが、右端一列(Backspace, Enter, Shift, Ctrlとか)はキーキャップの幅が0.5Uほど一般のものとは違うので、そこだけ置き換えられないのが一貫性がなくてちょっと不満である。
  • キークラスターモジュールについている、トラックボールも意外と便利で活用している。左手だけでスクロール操作できるため。ただし、最近空回りして反応しなくなることが増えたので適宜メンテナンスは必要かもしれない。
  • テンティングありで使っているのだけれど、傾きをささえるゴム足パーツがちょっとぐらつきやすい。Riser 60みたいに専用なやつを使ったほうが安定するかもしれない。

細かな不満はあれど、すごくよくできているので、今後も使い続けることだろう。 勢いあまって、Ultimate Hacking Keyboard 60入門という薄い本を書いたくらいには気に入っている。 トラックポイントポインティングスティック)が必須で分割できるキーボードを使ってみたい人には推奨できる。 でも、そうじゃないひとは、きっとこれじゃなくていい。

Debianプロジェクトから支援を受けたこともあり、Debian関連のバグ報告やらパッケージメンテナンス等、日々の開発作業を支えるなくてはならない道具となっている。 願わくは支援を受けたぶんくらいにはDebianプロジェクトに還元できていたらいいなと思う次第である。

UHK 80という80%レイアウトの新モデルがでたけど、私はこのままUHK 60 v2で生き延びていくつもりである。

*1:Debian Reeimbursementというしくみがなかったら、UHK 60を入手しようとは多分ならなかったはず。送料とかもろもろで当時$585.90とかだったはずなので、なかなかである。

My Free Software Activities in March 2025

3月のハイライト

3月は、DebianのToolchainのフリーズ期間に突入した。 d-iではまった件についてDebian勉強会で発表したが、netcfgにフィードバックするところまではできていない。 deskflowがようやくunstableに入り、trixieから利用できるようになったのが成果である。

3月の活動記録

My Free Software Activities in February 2025

2月のハイライト

2月は、粛々とパッケージのメンテナンス作業を実施した。 gr-frameworkに関して、フォントの権利関係を確認できたので、CMUSerif-Mathを既定のフォントとして 復活させることができた。手作業で生成されているフォント関連データファイルはなんとかできれば いいなとは思うが、まぁ問題がでてからでよいだろう。

あとは、はてなブログで昨年ちょっと頑張ったMozcをunstableで更新した話について書いた。

あとから読み返してみると、そんな大したことやっていない感がある。 なぜ最新に追従できなかったかについての事情はこのあと引き継ごうとする人には参考になるのではないだろうか。

2月の活動記録