技術書典5サークル初参加を終えて

技術書典5が終わったので、そのあたりを時系列でメモしておく。 なおこのメモを書いているのは、技術書典(初回)に一般参加したことがあるくらいの経験値であり、 こういったイベントにサークル参加は一度もしたことがなく、同人誌の頒布も初めてのど素人であった。(原稿を寄稿して印刷されたものを事後にもらったことはある)

なお、サークル「氷鼬組」としてワンオペで参加しました。

techbookfest.org

頒布したものは冊子+PDF+おまけ(先着24名様)でした。

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準備編

4月

技術書典4のレポートを読んで、自分でも執筆してみたくなる。 Firefox ESR60のカスタマイズ本というのをぼんやり思い描いていたので書きたい内容自体は早めに決まっていた模様。 この時点では、10冊もあればいいんじゃないかなーと見込んでいた記憶がある。

6月

技術書典5に参加しようか迷う。 8月のDebConf18に参加しようとしていたので、それが一段落してからの準備が間に合うかどうかを気にしていた。

技術書典に参加する目的として「知見を紙媒体に落とし込んで頒布するというのをやってみたい」というのがあった。 そのため最初から印刷所でそれなりの体裁で刷ってもらうことを前提にしていた。 オフセットじゃなくてオンデマンドならいいんじゃない?くらいのぼんやりとした知識しかこの時点ではなかったはず。

印刷所にお願いするならフォントまわりはきちんとできないといけなさそうだということで、実績があるという https://github.com/TechBooster/ReVIEW-Template をベースにフォント埋め込みのPDFを先行で試行錯誤していたのもこの頃。 本文のフォントはこの段階で「いろはマル」を採用することにした。

フリーフォントのMODI工場

@<w>{}が使いたくて、Re:VIEW 3のプレビュー版を試しはじめたのもこの頃。

CSS組版だとどうなんだろうとJAGAT主催のイベントに聞きに行ったりもした。

kokucheese.com

結論としては、印刷所にお願いする自分のケースだとまだ手を出すのは早そうだ、というものだった。

7月

DebConf18の発表準備にかかりきりで、技術書典関連のことは棚上げ。

8月

DebConf18での発表が終わってから、技術書典5に当選していることがわかったので、ようやく技術書典の準備にとりかかった。 テーマはFirefox ESR60のカスタマイズ本、特に企業や団体といった組織でのカスタマイズに焦点をあてることにした。 自分の知る限り、この分野に関しては断片的にはかなり詳細な情報はでているけれど、全体を見通してわかった気になれる資料としてはまとまったものがないはず。 ニッチではあるが、刺さるところがあるんじゃないかという狙いだった。あと自分がそれを書きたい。

書くべき項目をリストアップして、ひたすら文章を起こす作業をすすめた。Re:VIEW#@mapfile()を活用しはじめたのもこの頃だったはず。 執筆環境として、Atomとlanguage-reviewとかで執筆していた。

ページ数が増えるだけで、広げた風呂敷がたためなくなりそうなので、どれをいれるかRe:VIEWのcatalog.ymlをあれこれいじっていた。 ある程度固まったので、原稿用にスクリーンショットをばしばし撮りためたりもした。 当初はB5のつもりだったんだけど、印刷費用を抑えるためにA5に切り替える決断を早めにしておいたのはよかったと思う。

サークルリストの公開を控えて、サークルカットの準備をはじめたのが月末。Inkscapeサークルカットをあれこれいじって結局簡潔なやつにした。(デザインセンスのなさに絶望する)

9月

スクリーンショットの解像度を調整したり、文章の手直しをしたり粛々と作業を進める。 同人誌に寄稿したことはあっても、サークル参加したことはなかった素人なので、印刷に関してはバックアップ印刷所を利用するつもりでいた。 当初は無線綴じがいいのかなと思ってねこのしっぽにお願いしようかと考えていたのだけれども、日光企画の50%オフが魅力だったのでそちらにすることにした。(平とじでもいいのではないかと) そこそこの部数をだせるならこのへんの判断は変わっていたかもしれない。 ただし、早割を利用するには9/15が締切。その日はDebian勉強会の発表の予定も入れていた。 原稿の手直しが間に合わなそうだったので、9/15の入稿は断念し、40%オフとなる9/19を「本当の」締切に再設定した。 9/15は途中の原稿を印刷所にチェックしてもらう方針に切り替えた。

そこですっかり忘れていたのが表紙である。日光企画では雛形が公開されているのだけれども、.psd形式だった。 私の作業環境はDebianなので、Photoshopなにそれ、である。調べたところKritaで編集できることがわかったので見ようみまねで表紙データを作成した。

日光企画のお茶の水店に暫定で作成した表紙と本文(Ghostscriptでグレースケール化したPDF)を持参して確認してもらった。 フォントの埋め込みはクリアし、表紙は文字の配置がやや見切れてしまうかもという懸念事項と、あとレイヤーは統合したものを提出するように、という指摘くらいだった。 この時点で本当の締切ならいけるのではという感触を得る。

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念の為、Web入稿オンデマンドの画面を操作しながら説明してもらった(画面のハードコピーももらった)ので、後で自分でWeb入稿するときに困ることがなかったのもよかった。 入稿には支障がなかったものの、うっかり入稿したデータにTODO:が残ってしまったままだったのに気づいて、慌てて差し替えた記憶がある。

最終的には以下の印刷仕様にした。

  • オンデマンド平とじフルカラーセット
  • A5左とじ 56p
  • NPホワイト200kg
  • 表紙通常オンデマンドフルカラー印刷
  • オプション(マットPP)
  • 本文用紙オンデマンドスミ刷り
  • 遊び紙銀鼠

Re:VIEWに気になっていた挙動のフィードバックをしたのは9月だったはず。

節単位でファイルを分割したい · Issue #1108 · kmuto/review · GitHub

あと、KritaでSVGのインポートの挙動で不具合を見つけたのでフィードバックしたのも9月。

Bug 399166 - SVG image will not be imported as vector layer in Krita 4.1.3 https://bugs.kde.org/show_bug.cgi?id=399166

入稿の時点では被チェック数が13だったので、少部数だとやっぱり高コストだなぁと思いながらも強気に25部で発注した。30部は楽観的すぎるだろう、という塩梅。(これは結果としてほぼ見込み通りだった。)

時間に余裕ができたので、前々からやってみたかったノベルティーの発注もした。(だがこれは高コスト体質を悪化させるだけだったのであんまり他のひとにはお勧めはしない。結構楽しかったからいいけど。)

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あとは被チェック数に一喜一憂する日々を過ごす。

10月

直前で被チェック数が急に伸びる。最終的には77まで伸びた。特に10月に入ってからTwitterとかで宣伝はしていないのでここまで伸びた要因はよくわかっていない。

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100均に行って当日のディスプレイの準備をしたり、展示用のデータを作って光沢紙に印刷したり。 ダウンロードカードは対面電書のサービスを利用させてもらってデータを作成して、コンビニの写真プリントを利用した。

Shotcutでショートムービー作ってみたりしたのは完全に蛇足だった。いろいろやってみたかったんだってば。

当日編

10時ちょっと前に到着して、会場入り。 お隣が人気サークルだったのでダンボールの数にビビる。 自分のところは少部数なのでダンボール1つで済んでいて、かつそのダンボールも半分以上は詰物だったので。 開封の儀で写真をとっておくのを忘れてしまったのが残念。

印刷所からの直接搬入だったので、印刷されたものを当日確認することになった。 きちんと製本されたものになっていて、ちょっと感動。ページ抜けとかがないかをチェック。 準備は10:30前には完了してぼけーっとしていた。 日光企画の担当のひとが各ブースをまわっていたみたい。とても気を使っていただいてありがたい。

11:00開場して、あまりの来場者に圧倒される。 ぽつぽつと売れだして冊子がすべてはけたのが15:00。

さらっと見本誌を確認してこれは違うと判断したひとがそれなりにいたので、もっと濃い内容を期待していたのかもしれない。 お子さん連れできたひとにはおまけが好評だったみたい。 立ち寄ってくれた人たちとChromeのはないんですか、とかThunderbirdについての話ができたのは楽しかった。

そういえば、COMIC ZINのひとが委託するってのもあるよ、と紹介に来てくれていた。

www.comiczin.jp

多めに刷って残ってしまっても、委託というやりかたもあるんだそうな。なんと会場から搬入もいけると。そっちは完全に意識になかったのでなるほどと思った。ただ今回出す本はESR60対応と表紙にいれているやつなので賞味期限はほぼ一年。売りきらねばならんのですよ。

15:00過ぎにようやく冊子がはけたので、お隣に声がけしてトイレ休憩をとる。ワンオペはこういうときつらい。あと他のブースをぜんぜんみてまわれないのが残念。

その後のPDFのみでの頒布というのはまったく泣かず飛ばずだった。コンテンツ力がまだまだだったのだろう。

おわりに

頒布物を購入していただいた方、ありがとうございました。 本書がFirefoxの活用のきっかけになれば幸いです。

今回サークル参加して思ったことをいくつかメモしておく。

  • 印刷所へは早めに入稿(必須)
    • 早割を利用することで印刷費用を圧縮(少部数だと参加費用と印刷費用がでかいので、コスト削減につながる)
    • コピー本でコストをおさえる工夫をしたほうがいいかも(今回は印刷所にお願いして冊子を作ってみたかったのでパスしたけど)
  • SNSでの宣伝(必須)
    • Twitterだけでしか宣伝していないけど、宣伝するときはサークルの詳細ページへのリンクを忘れずにやっておくこと
    • リンクがないとわざわざサークルの詳細ページを探してまでよっぽどでないと見ない(と思う)
    • サークル参加します、と頒布物の詳細の2本だけだけど記事を書いたが、何かアップデートがあれば随時記事を書いたほうがよかったかも
  • 表紙はもっとどうにかしたほうがいい
  • 初めてということでコスト度外視の傾向だったので次回があるならもうすこし考えよう
  • 複数の決済に対応しなくてもよさげ
    • 現金決済が一番多い
    • かんたん後払いが3割くらい
    • pixiv PAYは2名だけだった。決済手数料が期間限定無料ということで導入してみたけど、振込手数料はかかるので微妙だった。pixiv PAY利用者増で状況はかわるかもしれないけど。
  • せっかく買いに来てくれたひとともっと会話すればよかったか。(技術書典とは関係ない原稿を書いていた)

他のひとの行動をみて感心したこと

すごい疲れたんだけども、なんだかんだいって楽しかった! また何か書きたいものが自分のなかででてきたら、サークル参加してみたいと思えたよいイベントだった。

そういえば、Iceweaselネタを仕込んでいったんだけど、誰にも突っ込んでもらえなかった。。。